戦争が続くなかでも、ウクライナの高級住宅市場は完全には止まっていない。OLX不動産がまとめた2025年10月時点の統計によれば、最も高価な一戸建て住宅が売買されている地域は、必ずしもキーウ中心部や有名リゾートだけではなく、首都圏の郊外や西部の人気地域に広がっている。
地域別に見ると、戸建ての中央値価格が最も高いのはキーウ州で約480万フリヴニャ、次いでザカルパッチャ州が410万、リヴィウ州が380万、イヴァーノ=フランキウシク州が360万、オデーサ州が330万フリヴニャとなっている。一方、最も手頃なのはチェルカシー州(約86万9千)、ミコライウ州(83万5千)、スーミ州(69万7千)、ドネツィク州(53万8千)、チェルニーヒウ州(42万フリヴニャ)だ。
高価格帯のホットスポットとなっている都市
州都レベルでは、キーウ、リヴィウ、ウージュホロド、オデーサ、イヴァーノ=フランキウシクが高級戸建て市場をリードしている。キーウでは一戸建ての中央値が約960万フリヴニャ、リヴィウで750万、ウージュホロドで710万、オデーサで660万、イヴァーノ=フランキウシクで540万フリヴニャ前後とされる。
ただし、最も高価な物件の多くは市中心部ではなく、良好な交通アクセスと自然環境を併せ持つ周辺の村や小都市に位置している。キーウ周辺ではドニプロ川沿いや幹線道路沿いのコミュニティが目立ち、ザカルパッチャやイヴァーノ=フランキウシクでは山岳景観と観光インフラを兼ね備えたロケーションが人気だ。
高額予算が地域へシフトする理由
2022年以降、富裕層の購入者は広い敷地、信頼できるシェルター、自立型インフラ(井戸、発電機、太陽光など)をより重視するようになった。こうした条件は密集した都市中心部よりも、郊外や地方都市のほうが整えやすい。またリモートワークやハイブリッドワークの普及により、首都レベルの所得を維持しながら都市圏外に住むことも現実的になっている。
西部ウクライナへ移住した家族や起業家にとって、持ち家の取得は一時的な避難ではなく長期戦略となりつつあり、この追加需要がザカルパッチャ、リヴィウ、イヴァーノ=フランキウシク各州の価格を支えている。
投資家・デベロッパーへの示唆
- キーウ郊外は依然として中核プレミアム市場。 土地付きのモダンな住宅と高い安全基準に対する需要が、同地域を価格ランキング上位に押し上げている。
- カルパチア地域は「ライフスタイル拠点」に。 観光収入、国境をまたぐビジネス、他地域からの移住が、販売・賃貸の両市場を支えている。
- 住所よりプロダクトの質が重要。 有名な地名だけでなく、良質な設計、エネルギー効率、既設シェルターを備えた完成度の高い住宅に対してプレミアムが支払われている。
ウクライナ住宅市場への投資を検討する場合、このランキングは、高額物件が少数の強い郊外・西部クラスターに集まりつつあることを示している。
