フリーランサーやスタートアップ向けのニッチなサービスとして始まったコワーキングが、ウクライナでは企業インフラの一部になりつつある。多くのオペレーターが、従来は長期固定のオフィスを借りていた大企業の利用比率が上がっていると報告している。
投資家にとって、これはセグメントの性格が変わりつつあることを意味する。コワーキングはもはや小規模チームだけを対象としたビジネスではなく、銀行や産業企業、海外企業に対して柔軟でプロフェッショナルなオフィス環境を提供する手段になっている。
なぜ企業がコワーキングを選ぶのか
戦時下でオフィス計画はより複雑になった。企業にはバックアップ拠点、都市間でチームを移動させるオプション、電源や通信、防災対策が整った空間が必要だ。複数都市でサービスを提供し、ある程度のレジリエンスを確保できるコワーキングは自然な選択肢となる。
加えて、ハイブリッドワークが定着したことで、一人ひとりに固定席を用意する必要は薄れている。企業は固定席とフレックス席、会議室を組み合わせて契約し、オペレーター側には企業レベルのセキュリティとIT連携が求められている。
ビジネスモデルの変化
記事ではウクライナ市場で起きている変化として次のような点が挙げられている。
- 売上と入居率に占める法人クライアントの比率が拡大していること;
- 完全に独立したオフィスではなく、コワーキング内部の大きめの専用ゾーンへのニーズが高いこと;
- 首都だけでなく、産業都市や地方都市への進出が進んでいること;
- 個人との短期契約から、企業との包括的な長期フレーム契約へのシフト。
その結果、コワーキング事業はより不動産寄りの性格を強めている。安定した運営、透明な料金体系、アクセスとセキュリティのルール整備が前提条件になりつつある。
不動産と投資の視点から見た含意
ビルオーナーにとって、コワーキングオペレーターをパートナーにすることは、現状では一社テナントで埋めにくい物件を安定化させる手段になり得る。投資家にとっては、複数拠点を持つスケールドオペレーターが、オフィス不動産の中で独立した投資テーマになり得る。
今後は、コワーキングとマネージドオフィス、企業キャンパスの境界線が曖昧になる可能性が高い。戦争が続く環境では、多くの企業が長期固定賃貸を避けたい一方で、チームが集まる場所は必要とする。そのギャップを埋めるポジションに立てるプレイヤーが、次の成長の主役になるだろう。
